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2007年 08月 18日
「空へ」 into thin air
ジョン・クラカワー 著 Y!ブログのcarmahさんがオススメくださった1996年に起きたエベレスト史上最大の遭難をドキュメントした「空へ」、図書館断ちの筈なのに一気に読んでしまいました。 エベレスト登山が商品化され、プロのガイドとシェルパ族により至れり尽くせりで世界最高峰を目指す・・・そのお値段は約700万円。 その商業登山をアウトドア雑誌にレポートするために参加した著者が、9人遭難(後日3人も死亡)というエベレスト登山最大の悲劇に巻き込まれたドキュメンタリーです。 1996年5月10日、絶好の登頂日和の中、エベレストを目指したのは、 アドベンチャー・コンサルタンツ社 ロブ・ホール隊長 (クラカワーら参加) マウンテン・マッドネス社 スコット・フィッシャー隊長 IMAX映画撮影隊(続素美代参加) お粗末な技術の台湾隊・遭難者を見捨てたと非難された日本人隊・登山隊の協力を放棄した南アフリカ隊など クラカワーと同じツアーに参加した面々は、ウィークエンドクライマーの医師や弁護士、エベレスト6峰登攀に成功した難波康子ら、登山技術に差のある、命を懸けたチームとは程遠い寄せ集め登山隊であったと、クラカワーは戸惑いました。 中でも難波康子には小柄で無口な様子に、その登山経歴に関わらず一抹の不安を感じていたようです。 狭いエベレスト山頂の手前で、集中した登山隊の様々な不手際と小さな判断ミスの積み重ねが登山者の渋滞を招き、ギリギリの体力と時間を無駄に消費してしまいます。 また、クラカワーの雑誌記事で全員登頂成功をアメリカの裕福な層(将来の顧客)にアピールしたい思惑を持っただろうアドベンチャーコンサルタンツ社リーダーの ロブ・ホール は、下山時刻の遅れが命取りであるのを重々承知であるはずなのに、前回参加で不成功だったダグ・ハンセンを何とかエベレスト山頂に連れて行こうと下山予定時刻を大幅に遅らすという致命的な判断ミスをしてしまいます。 その理由として、過酷なエベレストの環境下は、どんなに経験のあるプロクライマーでも、正常な判断が下せない位の意識障害を起し、この時のロブ・ホールは、まさにそういう状態に陥っていたのではなかとクラカワーは推測しています。 そして、クラカワー自身も意識障害による思い違いや判断ミスを数多くしたことを本書で告白してます。 いち早く下山をしたクラカワーは極限状態にあり、他の人もそのうちちゃんと下山してくると思いながら、テントの中で夢と現の間を行ったりきたりしていたのだと。 マウンテン・マッドネス社のロシア人ガイド、アナトリ・ブクレーエフは、過去に無酸素登頂を経験したプロクライマーですが、この事故に際し、顧客を残してまずは自分が先に下山し、キャンプに戻った後、救助隊を結成し、自社顧客だけを3人助けました。 この点について、クラカワーはブクレーエフのガイドの資質に疑問を投げかけています。 ブリザードのサウス・コルで凍り付いていた難波康子、ベック・ウェザース、ティム・マッドセン、サンディ・ピットマン、シャーロット・フォックスのうち、自力で動けるマッドセンに自社顧客のサンディに酸素ボンベを咥えさせ、自身は意識の朦朧としたシャーロットを背負って救出したのでした。 難波康子とベック・ウェザースは反応もなく、死んだものと判断され取り残されたままでした。 後にベック・ウェザースは奇跡的に意識を取り戻し、瀕死の状態ながら自力でキャンプにたどり着き、後日、今回の奇跡的な生還を描いた「零下51度からの生還 : エヴェレストの悲劇-死の淵から蘇った男」を、また、ブクレーエフも「デス・ゾーン8848M」を出版し、それぞれの立場からのエベレスト遭難を再現しています。 ロブ・ホールとスコット・フィッシャーはこの事故で亡くなってしまい、登山隊のリーダーとしての事実が残されていないのですが、上記の2冊を読まないうちはこの遭難事故を理解したつもりにはなれない気がします。また、同時に登攀したIMAX映画(大画面で上映される特殊な映画)の撮影隊によるエベレスト映画も、これらのドキュメンタリーを知ったうえで鑑賞してみたいです。 巻末にある著者の覚書に、このドキュメントが雑誌に掲載されたあとの、クラカワーに対する当事者や遺族からの戸惑いや怒り、読者からの容赦ない批判の手紙について率直に触れています。 「あなた自身のエゴが激しく身をよじりながら、あそこで起きた事をなんとか理由付けしようとしている」「誰もが人に害を及ぼすつもりはなく、誰も死にたくはなかった」と。 また、クラカワー自身も、「帰国後エベレストの事に頭を占領されない時はない」と苦しんでいます。 エベレスト登山がこんなにも過酷でクレイジーなスポーツであり、契約書にサインをしガイドに判断を委ねた時点で命も預けてしまうのだという事なんですね。 もしかしたら、難波康子は発見された時にテントに運び込まれていたら、生き残っていたかも知れない、、、そんな後味の悪さをも包み隠さない、真摯なドキュメンタリーだと思いました。
by nounai_g
| 2007-08-18 09:04
| 溺れる読書
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